腰の痛みを気にする方の多くが、敷布団一枚だけでお使いになられています。なぜでしょうか。おそらく、マットレスは沈み込んで腰に悪い、柔らかい布団は腰が痛くなる、寝づらい、といったアドバイスや失敗した経験から「固くないと眠れない」と思い込んでいるのでしょう。それはもはや日本では神話とさえ言えるほど。しかし残念ながら、それらのアドバイスは、正解ではありません。
マットレスから敷布団に変えたケースの殆どは、そのマットレスに問題があったから。そこから、全てのマットレスは駄目と思い込んでしまったのです。沈み込んだり、体に合わなかったり、そもそも状態の良くない中古を譲り受けたり。でも、体に合い、腰が沈み込むことなく、カビを防ぎ、健康でぐっすり眠れるのは、敷布団よりもマットレスなのです。
固い敷布団で寝ると、あお向けでウエストに隙間ができ、お尻がぶつかり、足のかかとが点で接し、足首に隙間ができます。体全体で自分の体を支えておらず体圧分散ができていないのです。これでは、腰に良いはずがありません。
こちらのページもご参照ください→敷きパット特集ページ
間違いだらけの寝具選び
機能
思い込み
たくさんの誤解がまかり通っていて
本当に良い寝具は知られていません。
体圧分散できるマットレスなら、体とマットレスがフィットしているので、体重を体全体で支えます。ウエストや膝の裏や足首などに隙間もできません。体のどこにも力が入らず、全身の力を抜いて横になれます。これができて初めて、体を休ませることができるのです。体圧分散を謳う寝具は沢山あります。でも、どれだけ体圧分散できているかはピンキリです。
さらに、湿気を溜め込まず放出してくれる素材でできていること。多くのマットレスは、ここも疎かです。湿度の高い日本では、なおさら不快。畳ベッドも同じ理由でおすすめできません。現代の畳は中材が発泡スチロールなどで吸湿放湿せずカびのもととなります。しかも畳ベッドの上に敷くものが固い敷布団一枚だけでは、良い眠りとは正反対のもの。固いマットレスや敷布団では隙間ができるから、化繊のパッドを足す。これでは悪循環です。
プロのアスリートは、筋肉の量が普通の人とは大きく異なります。また、オンとオフではどのような体の状態を作るかも違い、使い分けが必要です。一般的には年齢と共に筋肉が衰えていきます。若い頃は固い布団や、場合によっては畳や絨毯の上で眠れたかもしれません。それは、筋肉があったから。歳を重ねてからの固い敷き寝具は、良くない方向へ突き進んでいることに他ならないのです。
眠りが浅いのは、年齢のせいだけではありません。
こちらのページもご参照ください→マットレス一覧ページ
一般的によく言われている、マットレスや敷き布団の、硬い・柔らかい。本来、マットレスや敷布団の選び方や良し悪しは、そのような分け方ができません。また、硬さも柔らかさも相対的なものです。
硬い敷き寝具が体に良くないように、ただ柔らかい敷き寝具も体に良いとは言えません。石田屋が取り扱うマットレスは、硬い/柔らかいで言えば、硬くもありやらかくもあります。重力から解放され、腰や背中が曲がることなく、体を正しく支える、ほんとうに体に良いマットレスは「硬さ」ではかるものではないのです。
こちらのページもご参照ください→石田屋の敷き寝具の考え方
単純に、ベッドなら、毎日の上げ下ろしが不要です。そして、足を床に下ろして、楽に起き上がれます。室内の埃の殆どは、床から高さ20センチ以内にあります。床に薄くて固い敷き布団一枚では、眠っている間ずっと埃を吸っているようなもの。しかもその布団やシーツが化繊の場合、帯電性質が床材や人間の体と差があるため、静電気が起き、埃を寄せつけます。どんどん自ら不健康な環境にしているのです。
寝室が畳敷きの和室だからベッドは……という方がいらっしゃいます。昔の住まいは、布団を上げ下ろしして、日中は茶の間として、夜は寝室として、ひとつの部屋にいくつもの昨日を持たせていました。でも現在の住まいは、寝室は寝室。ベッドを置いて、困ることはあるでしょうか。また、畳に痕がつくのと、ご自分の健康に影響があるのと、どちらが良いでしょうか。
通気性を確保するのも、ベッドの大きな役目。スノコ状ではない板では、湿気がこもったまま。不快ですし、汗冷えして冷たくて寒くて寝つけないという事態に陥ります。そのまま使っているとカビの原因にも。質の高い睡眠を得るためには、不快の元である湿気を放出することが大切。スノコ状になったベッドに、天然素材の寝具。それが、シニアはもちろんあらゆる世代でベストです。
意外な事実ですが、日本人が畳に敷布団を敷いて寝るようになったのは、明治時代に入ってから。歴史を遡ると、正倉院にベッドがあったり、竪穴式住居でもスノコのベッドが使われていた跡が残っています。聖武天皇と光明皇后は、それぞれシングルサイズのベッドで寝ていました。そして時にはベッドをくっつけて、大きな一枚のシーツをお使いになっていたことも判っています。
布団のカビが問題になり始めたのも、実は明治時代に入ってから。同じく、毎朝布団を押し入れにしまうのも、明治時代からの習慣。日本の寝具の歴史は、快適さと湿気対策のせめぎ合いでもあったのです。
どうしても畳に布団で寝たいという方は、高さ20センチを目安に、天然素材の敷き寝具を組み合わせてください。石田屋なら、敷布団でもマットレスと同じ体圧分散を実現するフトンエレメントに、天然ラテックスのドクターパッド、ウールのわたを詰めたバランスプロファイル敷布団、そして年中快適なウールベッドパッド、という組み合わせで、約20センチとなります。この組み合わせなら、重くて分厚いコイルのマットレスよりも上質な睡眠を約束します。
また、畳の部屋に敷いて、毎日の上げ下ろしをしない場合は、ドライシートを必ずお使いください。
重い綿の掛布団が、布団をかぶっているという実感があって好き、という方がいらっしゃいます。これも、何枚もの布団を重ねないと外気の寒さから守られなかった、以前の経験が原因だったりします。しかも、重くて硬い布団だと、体との隙間ができ、暖まるまで時間がかかり逆効果。
実は、寒さや、肩がこるといった睡眠の問題は、この重い掛布団が原因だったりします。まず、寒さ。最も保温性に優れた素材は何だと思いますか。正解は、空気です。掛布団の保温性とは、どれだけ空気の層を確保できるか、と言えるのです。同じ重量の羽毛でも、ダウンパワーのある羽毛なら、より大きく膨らみ、ふっくらとした掛け布団となります。それだけ空気が多いから、暖かいというわけです。裏を返せば、上質なほんものの羽毛なら、廉価な羽毛布団よりも遥かに少ない量の羽毛で充分暖かいのです。また、重い掛布団ほど、ベッドからずり落ちやすくなります。
軽い掛布団は、体との間に隙間ができるから寒い、という方もいらっしゃいます。ぱんぱんになるほど大量の羽毛が詰まっていて、キルトの数が少ない羽毛布団だと、そうなります。側地の生地が細い糸で織られていて柔らかく、キルトのマス目が多ければ、軽くても体にフィットします。フィットする掛布団は、しっかりと体が包まれている実感があります。飛んでとこかへ行ってしまうような心細さはありません。
石田屋には、独創的なキルトの形状で、一般的な羽毛布団の約三分の一の羽毛量で、真冬の北陸でも充分に暖かい掛布団もあります。体にかかる重量が軽ければ、肩こりとも無縁。これまで体験したことのない軽さと保温性、そして透湿性によって、ほんとうにぐっすりと眠れ、疲れをとり、元気に目覚める、健康な睡眠を実現できます。
かつての畳は通気性がありました。でも現在の畳は合板に石油由来の「い草もどき」で作られています。そのため、吸湿性や放湿性が全くなく、空気が通らず、むしろ湿気がたまります。また、静電気が起きやすく、埃がまとわりつきます。昔ながらの畳なら工夫次第で寝床になりますが、現在の畳の多くはおすすめできません。
伝統的に日本の住まいは夏の暑さをしのぐことを第一に考えられてきました。そのため、良くいえば通気性に優れています。つまり、冬は寒い隙間風が入り、囲炉裏や火鉢で暖をとっても一酸化炭素中毒になりませんでした。現在の住まいは断熱性も気密性もあり、室温は外気温と大きく差があります。そのため湿気がたまるのです。
毛足の長いボアの敷き毛布や掛け毛布が安く売られています。とりあえずの急場しのぎでお使いになるかもしれません。でも、化繊だと、必要以上に汗をかき、しかもその汗を寝具が吸収も放出もせず、どんどん蒸れていき不快になり、眠っている間も熟睡できず、明け方には冷たくなった汗によって体が冷えてしまいます。
掛布団の重さと暖かさは比例しません。最も熱伝導率が低いのは、空気。空気の層をどれだけ作れるかが、掛布団の質。ぎゅっと綿が詰まった重い掛布団が暖かくないのは、そんな理由から。ダウンパワーの高い羽毛布団なら、羽毛の粒が大きく、たっぷりと空気を含みます。また、側地の糸が細い天然繊維なら滑らかで柔らかく、キルトのマス目が沢山あれば、軽くても体にフィットします。
「もう歳だし、そんなに長く使うわけでもないから」とおっしゃる方がいます。自ら寿命を縮めているようなものです。まだまだ何十年も自分の足で元気に動けます。何歳からでも、人は健康になれます。適切な時間帯に眠れば、何歳でも成長ホルモンは出ます。ぜひ、これまでに体験したことのない本当に快適な眠りを知ってください。眠りが変われば、毎日の生活が変わります。